この章の読み方
これは「新サービス誕生」の章ではありません。これは「倒れたあとに、まだ作る」の章です。
「The Jmail Phoenix」は、表面的には無料メールサービスの誕生物語です。 しかし、深く読むと、それはもっと厳しい章です。 事業が傷つき、現金がなくなり、仲間が去り、信頼回復の途中で、 それでも次の一手を探す人間たちの章です。
Jmailは、豊かな資金調達のあとに生まれたサービスではありません。 完璧な開発体制、安定したサーバー環境、十分な広告予算、整った運用チーム。 そうしたものがそろっていたわけではありません。
残っていたのは、.co.jp ドメインのコレクションと、まだ消えていない起業家の執念でした。 そこから、無料のバイリンガル・ウェブメールを作る。 しかも、日本語が文字化けしないようにする。 そして、利用者が好きなドメインを選べるようにする。
Jmailは、勝利のあとに生まれたサービスではありません。
敗北のあとに、それでも立ち上がろうとしたサービスでした。
だからこそ、この章には明るさと苦さが同時にあります。 Launchの興奮。 ユーザーが増える音。 Little Blueのばかばかしいほど楽しい火花。 そして、ずっと残る資金難、ブラックリスト、運用責任、利用者への未払いの説明。